コロナ感染から回復しても肥満の影響が残り続ける可能性

新コロナ

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが拡大するにつれ「過去にCOVID-19を発症して回復した人」の数がますます増加しております。
日本だけで2000万人近い累積陽性者が確認されていますし、今後も増加していきます。
こんな状況の中で危惧されだしたのが後遺症などです。
「COVID-19から回復した人の体には何かしらの影響や後遺症が残るのか?」という点です。
スイスの軍人を対象にCOVID-19の後遺症を包括的に調査した新たな研究では回復後の若者にはコレステロール値やBMIの増加、体力の低下といった影響が残る可能性があることがわかりました。

さまざまな後遺症が残る事が危惧されている

COVID-19の患者には、さまざまな後遺症が残るケースがあることが知られ心配されています。
しかし、これまでの研究は入院患者や高齢者、複数の疾患を持つ人を対象にしたものや、調査範囲が特定の器官系に限定されているものが多く、健康な若い成人における中長期的な影響を調査したものは少ないとのこと。

そこで、チューリッヒ大学疫学・生物統計学・予防保健学研究所Patricia Schlagenhauf教授が率いる研究チームは、若い軍人におけるCOVID-19の持続的影響について調査しました。
今回の研究では、2020年3月1日~12月31日に徴兵制で軍隊へ加入していた501人の若者が被験者として登録されました。被験者の年齢の中央値は21歳で、501人中女性は29人だったとのこと。

被験者のうち8人が不完全なデータとして除外され、残る493人のうち177人が検査日の180日以上前にCOVID-19を発症し、19人が180日以内にCOVID-19を発症していたほか、COVID-19の発症歴はなかったものの検査で新型コロナウイルスに感染していたことが判明した無症状感染者が46人いたとのこと。残る251人は血清学的に新型コロナウイルスの感染歴がなく、研究では対照群として扱われました。

検査では包括的なテストが採用され、心血管系や肺機能、腎機能、眼機能、神経学的機能、男性の生殖機能、その他の健康状態や心理状態についての調査が行われました。

検査結果を分析したところ、若く健康でCOVID-19で入院するほど重症ではなかった被験者の多くは、さまざまな身体機能が正常に回復することが示されました。180日以内にCOVID-19を発症した被験者の中には、疲労や嗅覚の低下、生殖機能や心理面での問題が持続するケースもありましたが、発症から180日以上が経過した場合はこれらの影響はほとんどみられなかったとのこと。

しかし、COVID-19発症から180日以上経過した若者でも、BMIやコレステロール値の増加、体力の低下といった影響が残っていることも判明しました。これらの結果は、COVID-19から回復した若者は代謝障害や心血管疾患を発症するリスクが高いことを示唆していると、研究チームは主張しています。

Schlagenhauf氏は、「独自の包括的テスト、均質な集団や対照群の組み合わせによって、この研究は若い成人におけるロングCOVIDの、エビデンスベースの非常に強力で画期的な研究となっています」「今回の結果は、若い成人集団におけるCOVID-19の後遺症の幅広い学際的評価・管理・治療・支援を提供する戦略の指針となるもので、社会的および公衆衛生的な効果を持っています」と述べました。

参考サイト

Persistence, prevalence, and polymorphism of sequelae after COVID-19 in unvaccinated, young adults of the Swiss Armed Forces: a longitudinal, cohort study (LoCoMo) – The Lancet Infectious Diseases

URL:https://doi.org/10.1016/S1473-3099(22)00449-2

UZH – UZH News – High Cholesterol, Overweight and Reduced Physical Stamina Are Long Covid Sequelae in Young Adults

URL:https://www.news.uzh.ch/en/articles/media/2022/Long-Covid-Recruits.html

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