1930年代~1940年代では、医師もまだ喫煙と肺がんの明確な関連性を発見していませんでした。
多くの人たちがタバコを吸っていたために、タバコの広告では、医師の信頼を利用してタバコの正当性、他社の製品より健全である事を主張していました。
「健康のために禁煙」など全く考えられてなかったスゴイ時代ですね。
医師のタバコ推奨広告はラッキーストライクから
広告に医師を使用した最初の紙巻たばこ会社は、ラッキーストライクのメーカーであるアメリカンタバコでした。広告には「2万679人の医師が『ラッキーストライクは喉に刺激が少ない』と述べた」と記されています。
この質問は、沢山の医師にタバコをカートン(大量)でプレゼントをして、好意的な返答として「主観的な好み」としての返答を得た。
当時はまだタバコと肺への関連性が分かってなかった事もあり、医師へのプレゼント作戦により大量の好意的な返答が得る事が出来た。
マールボロやラークで知られるタバコメーカー・フィリップモリスは、1937年に「喫煙者がタバコをフィリップモリスに切り替えたら鼻と喉の炎症が改善したという研究結果が報告された」という広告を新聞に掲載しました。
タバコと広告の関係について研究するマーサ・ガードナー氏は「当時のアメリカではペニシリンの発見などによって医学的研究への信頼感が高まっていました。フィリップモリスの広告は人々へのアピールに役立ったようです」と述べています。また、フィリップモリス製タバコの効果検証はフィリップモリスの後援を受けて実施されたものでしたが、フィリップモリスは後援の事実を隠していたとされています。
医師のお墨付きをアピールする広告は1940年代に入っても続きました。例えば、1946年に発行された以下の広告には「多くの医師が、他のタバコではなくキャメルを吸っている」と記されています。
どの広告も、タバコが不健康につなる関連性が発見されてなく、多くの医師も喫煙者でしたので、利益誘導により特定のタバコ製品を推奨する事も平気でなされていたのでしょう。
特定のメーカーを推奨する医師はタバコ代に困る事は無かった時代ですね。
1950年代でタバコと肺がんの関連性の証拠
その後、1950年代には肺がんと喫煙を結び付ける有力な証拠が発見されました。ガードナー氏によると、各タバコメーカーは「喫煙が有害であるとする研究は憂慮するべきであるが、有害性を決定するものではない」という主張を広めるキャンペーンを実施したとのこと。
しかし、この主張は現代では説得力を持っておらず、日本を含む多くの国がたばこの規制に関する世界保健機関枠組条約に批准し、タバコのパッケージに有害性を記すなどの対応が行われています。
なお、上述の広告はスタンフォード大学のタバコ関連広告収集プロジェクトで公開されているもので、以下のプロジェクトページでは他にも多数の広告を閲覧できます。
タバコ銘柄「ChesterField」は、1947年の広告で「全米の大学でトップに投票された」と主張しています。
こちらもタバコ銘柄「ChesterField」で1940年の広告の1つで学生をターゲットとした広告で「ChesterField独自の卒業式帽子が登場しています。」
この広告はタバコ名が「OldGold」のタバコが若い男性が学校でクールにし、女性からは魅力的に見えている事を表現している広告。
現代と同様に人気のある有名人を広告に起用する事は良くありました。
JOHN WAYNEを起用したこの1933年の漫画スタイルの広告は若い世代にも注目されたでしょう。
現在では考えられないのですが、子供を題材に含めたタバコ広告は当時は驚くべきことではありませんでした。
広告のキャンペーンは喫煙が家族生活の中で安全な側面として描写されていました。
タバコ銘柄「ChesterField」は、1950年代の広告は「若い世代の米国」をターベットにしており、魅力的で成熟した人々の生活にタバコが溶け込んでいる様子が描かれています。
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