首都圏の自治体などが外出自粛を要請した週末を前日に控えた27日夜、東京・新宿の高速バスターミナル「バスタ新宿」では、荷物を抱えたマスク姿の若者らが次々と夜行バスに乗り込んでいた。
「東京から出られなくなるかも」などの行動規制がかかる可能性から、都内での感染者が急増する中、帰省の予定を早めた人もいた。
「東京から出られなくなるかと思った。帰れそうでほっとした」。就職試験のため上京した専門学校1年の女性(19)=仙台市=は、予定を2日早めて盛岡市の実家に帰省するため、ベンチで盛岡行きのバスを待っていた。友人と会うつもりだったが、小池百合子都知事の「ロックダウン(都市封鎖)」発言を受け、家族から早く帰るよう促されたという。「東京では、電車の中がすごく怖かった」と振り返った。
大学を卒業したばかりの奈良県の男性(22)も、ファッションモデルのアルバイトを3日残し帰宅することにした。外出自粛の要請や都内のスーパーで買いだめが起きるのを見て、「早く帰った方がいいと思った」という。
「東京にいる方が怖い」と話すのは、名古屋に出張に向かう単身赴任中の男性会社員(49)=東京都中野区=。隣に人のいない座席を選び、トイレの近くも避けたといい、「バスがガラガラで安心した」と語った。政府はテレワークを推奨するが、「アナログの小さな会社で、上司はイメージも湧いていない」と、諦め顔で夕刊紙に視線を戻した。
待合室はキャリーケースを携えた若者らでごった返していたが、案内係の男性は「これでも例年の春休み期間と比べたら半分くらい」と説明。出発便を表示する電光掲示板も、大半に空席のランプが光っていた。
大手バス会社「ジェイアールバス関東」(東京)の担当者によると、新型ウイルスの影響で高速バスの利用客は例年の半分以下。都内と京阪神を結ぶ路線の落ち込みが顕著で、8割減という。
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