中国干渉により撤廃されそうな、香港の優遇措置制度とは?

中国干渉により撤廃されそうな、香港の優遇措置制度とは?

よく耳にする香港デモからの中国、香港問題への「干渉」に対抗する措置として「優遇措置」の撤廃。
中国高官や金持ちにおいては不安定な中国寄りも国外へ蓄財した財産を移したいところで。それが香港経由だと比較的容易に出来、一部の裕福な中国人にとっては、香港及び制度は非常に重要となっている。


事業所得税率の低減

 2017年 10 月11 日に、林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は立法会において就任後初の施政報告を行い、今後5年間で取り組む施策の一部を明らかにしました。施策の一つとして、事業所得税に軽減税率を導入する見込みです。具体的には、2018年度以降は2段階の税率を導入し、課税所得200万香港ドルまでの税率を現在の税16・5%の半分の8・25%とし、残る課税所得は引き続き現在の税率16・5%で据え置かれます。

 ただし、当該税制上の優遇措置は中小企業を対象としているため、細分化による乱用防止目的で、各企業グループが低税率の恩恵を受ける企業を1つだけ選択するような規制を導入する予定です。

 この施策導入の背景には、世界各国が法人税減税を掲げている中で、海外からの企業にとってタックスヘイブンとしての香港の魅力が劣らないようにし、アジアにおける国際的なビジネスセンターとしての位置づけを維持する目的があると考えられます。この提案は、早ければ2018年4月以降開始の会計期間から適用される見込みです。

R&Dの優遇税制

 林鄭月娥行政長官は、企業の研究開発(R&D)投資を促進するため、研究開発費の税額控除を増額する方針も表明しています。具体的には、200万香港ドル以下までの税制適格要件を満たす研究開発支出金額については、300%の所得税額控除を受けることができ、それを超える支出額については200%の所得税額控除の適用が提案されています。

 香港を国際的なイノベーションとテクノロジーのハブにするため、上記のような提案を打ち出したと考えられます。

航空機リース事業に関する優遇税制

 2017年10月27日に、IRD(香港税務局)は、解釈・実務指針54 航空機リース税制(以下、「DIPN 54」)を公表しました。

 これによると、税制適格要件を満たす航空機リース事業会社が航空機を航空会社にリースして稼得する所得については、当該航空機に係る減価償却費は税務上損金算入が認められないものの、その他控除可能な費用を差し引いた課税標準額の20%をみなし課税所得とし、これに8・25%を乗じて税額が算定されます。つまり経費控除後の収入に対し1・65%の税率での課税となります。また、航空会社ではなく中間事業者に対し航空機の貸付を行った場合には、これまでは税制上の優遇措置はありませんでしたが、今回の公表では、さまざまな事情と状況を勘案し、優遇措置を受けられる可能性があることを示唆しています。

 また、特定の税制適格要件が満たされていることを条件として、税制適格航空機リースマネジメント事象者が稼得する課税所得に対し、事業所得税率として8・25%が適用されます。マネジメント事象には、航空会社に対する融資活動等のファイナンス取引も含まれると解されます。

 これらの優遇税制を受けるためには、香港内にCMC(Central Management Control)を設置する必要があります。CMCとは企業の管理統制部門のことで、企業の税務上の所在地を決定する際にCMCを用いるのは、シンガポール、イギリス、オーストラリアなど多くの法域で採択されており、確立されたコモン・ローです。

CTC制度による優遇税制

 2016年9月、香港政府はCTC(Corporate Treasury Centre)制度による税制優遇措置の概要を公表しました。ここでは詳細は割愛しますが、一定の要件を満たす場合、香港外のグループ会社に対する金融財務活動から生じる所得に対して、標準税率16・5%が半減され、8・25%の優遇税率が適用されます。

まとめ

 全体的にみて、昨今の香港税制は国際的な競争力を維持すべく強化され、海外からの企業を誘致するためにも歓迎されるべき変化であると思慮します。

 ただし、優遇税制は対象となる取引範囲およびその適用要件が複雑であるため、自社が税務面での優遇を受けられるかどうかは各種事例やそれらに関する説明を正確に理解することが必要となります。

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